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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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その日の宗派は一応伏せておこう。

お寺の葬儀。
亡くなられたのは 先々代の住職の奥様。
住職の奥様を 坊守 と呼ぶと 初めて知った。
お寺の奥様を 「大黒様」 と呼ぶのを聞いたことがあったのだが
宗派や地方に よるのだろうか。

調べてみると
この宗派では僧侶の奥様をこう呼ぶとのこと
他では 梵妻 (ぼんさい)、 あるいは 大黒 (だいこく)



葬儀というものは
各宗派の死生観・世界観にのっとった宗教儀式、 という概念があるので
お寺の関係者が亡くなって 葬儀社が入る、 というのは
私の中では軽く あれ? な感覚。
本来は お寺さん主導なんじゃないのかな。

これを おねえさんに素朴に質問してみたら
このパターンはよくあるよ、 と前置きをし
「お寺さんは 火葬許可証もらうのに 役所に走ったりしないからね」 と。
なるほど。
考えてみると
葬儀社で 元々お寺だというのは聞いたことがないのだな。

さて 通夜・告別式。
通夜では 蚊に難儀した。
告別式は炎天下。
とにかく暑い。 「熱い」 という漢字がしっくりくる程。
会葬者は予想通りとても多かった。
そのお寺は 美しく庭を造っている為に
敷地の広さの割に イスを入れるスペースはあまりなく、
座れない方は 立っている他にどうしようもないのだが
高齢の方も多く
式中 倒れる方が出るかも、 と スタッフは緊張していた。


告別式では 近隣の同宗派のお寺さんが集まり
本堂に入った導師様は 20人以上。

美しい袈裟姿の一団を見て
烏帽子被って蹴鞠でもしたら楽しそう、 と思ったのは内緒


導師一個連隊の入場にも時間がかかり
弔辞が何名も続き 弔電も多く
普通の告別式より 長いこと長いこと。

会葬者の中には そりゃ義理で、 という方もいらっしゃるだろうが
故人とのお別れの為に 来られているわけで
何人もが似たような言葉で
故人の功績を棒読みで賞賛する弔辞を聞いていると
立ったまま汗をぬぐい なんとか日陰に入ろう、
なんとか楽な姿勢を取ろうとする方たちが
気の毒で仕方なかった。



式の最後、 喪主である前住職からの挨拶が。
長すぎる丁寧な数々の弔辞の後だし
さくっと終わればいいな、 と 不謹慎な思いを胸に
ゴミを拾うフリをして屈伸をした私。

亡くなられた坊守様の息子であるこの方は
故人を 功績ある坊守ではなく
自分の母として 話をされた。
元々 お話の上手な方なのだろうが
話の上手下手ではなく
子として母を思い 感謝し
その死を純粋に哀しむ気持ちを表現するのに
つまりながら紡がれた言葉は
その場にいた全員の胸を打った。

弔う、 というのは こういうことだ。

まさに釈迦に説法な生意気発言



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献茶婦
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