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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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会館であろうと外現場であろうと
私達 献茶スタッフは
無人の控室に立入ることが多い。

当然 そこにはご親族の荷物が置いてある。

なので 私達はことある毎に
「貴重品はお手元に」 と
口が酸っぱくなる程繰り返すわけだ。

何かあったらイヤでしょ、 お互い。


そして私はその日まで
貴重品紛失騒動に 遭遇したことがなかった。

ゲーム機のタッチペンをなくした、 とか
喪服のボタンを落とした、 とか
靴がない、 とか
そんなのは よくあるのだけど。

その日の宗派は真言宗。
おねえさんはYさん。
H区ホールにて。


初七日が終わり、 皆様足をくずし、
お茶を飲んで一息ついた頃、
一角から
「この辺に置いてたんやで?」
「何かの下にまぎれてるんちゃうの?」
・・・と トーンの高い声が聞こえてきた。


不穏な雰囲気にたじろいでいると

「おねーさん、 この辺に"布きれ"ありませんでした?」

と 尋ねられた。





"布きれ"は
湯灌 (故人さんをお風呂に入れて清める儀式)の時に
切ってもらった遺髪を包んでいたとのこと。


「朝はここで見たんや」

"ここ" というのは
たたんで裏向けに積んであるテーブルの最上部。



あちこち探し回り
最終 出て来たのはゴミの中。
ひねられた紙コップの中にそれはあった。


誰もそれを捨てた覚えはなかったが
ひねった紙コップが置いてあれば
誰でもゴミだと思うだろう。


担当者がありのままに状況を説明し
「見つかったからもういい」 と
家の方はそれ以上は何もおっしゃらなかった。
その辺に置いていたこっちも悪いんやから、 と。


貴重品はお手元に。
お金で買えない大切な物もあるのです。
マスターカード?
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プロフィール
HN:
にわ晃子(acco)
性別:
非公開
職業:
献茶婦
自己紹介:
阪神間で動き回っています。
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