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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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映画 「おくりびと」、
オスカー外国語作品賞、 おめでとうございます。
自称映画好きですが
業界のはしくれにいる人間ですが
この作品は まだ観ておりません。

ーーーーー

某 大手葬儀社では 納棺は『湯灌 (ゆかん)』というスタイルで行っている。

湯灌とは
故人様の体と生前の罪障をお湯で洗い清める儀式のことで
清められた故人様は 身支度を整えられてお棺に入るという流れで
執り行われる。

・・・といっても 献茶クラブ同様 “湯灌業者” なるものが存在するのだが

この映画が公開された頃、 この湯灌を
会館でイベントを催す際のメインの出し物にしよう、 という話が持ち上がった。

言わずもがな だけど
イベントというのは会員獲得の為に催されるワケよ。



イベントのチラシを見ると
『おくりびと』実演!
・・・という文字が。

私がこの話を知ったのは 関係業者が集まるミーティングの席。
この時点では
やることは決まっているけれど 詳細は何も決まっていない、 という状況で
時間帯や実演場所など
目の前でいくつかのことが決まっていった。

その中で
誰か人間を使うのか・・・という話が。

・・・ということはだな、
湯灌業者 「その人を納棺するまで やるんですね?」
葬儀社 「・・・そりゃ、 そこまでせんと『おくりびと』の実演として成立しませんよ。」
湯灌 「えーと、 モデルは御社で用意していただけるんですね?」
葬儀社 「えぇっ・・・?」

明らかにそこまで考えていなかった葬儀社の責任者。
湯灌業者は人手不足で モデルを出せ、 と言えない状況なのは葬儀社も知っている。
あとで聞くと イベントにかりだされるのも迷惑だったらしい。
「んー・・・わかりました。 誰か社員を用意します。」
これが 葬儀社側からの結論。


モデルとして湯灌され 清められ 納棺される・・・
されるだけやん、 といえば簡単だけど
冗談でも棺の中に入れられるなんて
気分的にイヤすぎるぅー。
俳優さんは 安くないギャラをもらって 仕事としてやってるんだもん。
反面、
モデルはきっと小柄なあの人だろう、 と完全に面白がって予想する私。


そしてイベント当日。
私は参加していないので 伝聞事項。

実際のモデルは 予想していた男性社員ではなく
さらに小柄な女性社員だった。

厳粛な雰囲気で実演するはずだったのだけど
ギャラリーもやはり
『生きているのに 死人の役だなんて気の毒』という目線が多かったらしく
モデルも
つい目を開けちゃったり
つい声を出しちゃったり。
ギャラリーに突っ込まれながら
ある意味なごやかな雰囲気で進行したという。
笑ってなんぼ、 という意味では完全に成功していたようだ。

とはいえ 死は普遍的なもの。
誰もが必ず通る道。
なのに 葬儀というものはちっとも身近でなく
一般の方からみると 謎だらけ。
葬儀社、 というと身構えてしまう人が多い中
湯灌というものの内容を知っていただいた上に
葬儀社の存在の敷居を低くしたという意味でも
この おくりびとごっこは 成功と言えるだろう。
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教えて!
納棺、茶たどり着きました。
納棺の際お茶を入れる習慣があると聞きました。
詳しくご存知ないでしょうか?
納品業者 2009/06/03(Wed)17:17:12 編集
納品業者様
はじめまして。

私どもは 納棺の際に立合うことがないので
実際のところはわかりませんが
おっしゃるような習慣は耳にしたことがないです。

お役に立てず 申し訳ありません。
acco 2009/06/12(Fri)10:41:04 編集
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