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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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大人数で円陣を組み、 円陣の真中に一人 鬼(?)役が。
円陣の中に 先導者がおり
その人に合わせて 全員が同じ動きをする・・・

震源地はどこだ、 とも呼んでいたような。
シンプルかつ楽しいゲーム。


ーーーーー


告別式が終了したら
出棺して 斎場(火葬場)へ行く。

斎場についたら
お棺は車から降ろされ、
ご遺族様たちは係員の誘導にしたがって
バスや車から降りて建物に入る、 という
特別 説明するほどでもない流れ。



なのだけど
ある斎場だけは
特別な形態をとっているのだな。

それはどんなのかというと・・・


斎場の敷地に入ったら
炉のある建物の 少し手前で柩車は停車し、
ご遺族様たちは バスなどから降りて
柩車の後ろに並ぶ。
お寺さんが 柩車の前を歩き 建物正面まで先導。
その後 お棺は降ろされ
ご遺族様たちは 建物内へ入場。


まどろっこしくて申し訳ない。

要は
わずか10メートルほどの距離を
お寺さん ― 柩車 ― ご遺族という葬列をくんで
ゆっくりとおごそかに歩くわけだ。


このエリアは都市部で
同じ市内に 他にも斎場はあるのに
こんな入場方式は ここだけ。


屋根のない場所で
土砂降りでなければ
小雨程度なら 遂行される、 鉄板のしきたり。


ーーーーー


ここから伝聞事項。
施行担当者から聞いた話。


その日、
ほんの少し雨が降っていた中で
その斎場に到着する直前、
喪主さまが トイレに行きたいとおっしゃったそうな。


その切羽詰まった声を聞いて担当者は
葬列の掟を破る決心を。


そして斎場の職員の一人に
事後報告として
入場前の喪主様の状況を説明し
「すみません、 雨も降っていましたので」 と
これ幸いな言い訳を付け加えたら


「だいたい、 いつもなんであんな入場?
この辺のしきたり?」

と 聞かれたらしい。
これには 担当者がびっくり。




「あの葬列入場、 しなくてもいいんですか」
・・・これは担当者。

「葬儀屋さんが勝手にしてはるとばかり」
・・・斎場の人。



その担当者のキャリアのはじまった時には既に
この斎場では葬列方式が確立しており、
その斎場に出入りしている葬儀業者は100%
同じやり方をしているはずだと言っていた。

近隣のお寺さんは 宗派を問わず
この斎場では
何の迷いもなく柩車の前を先導している。



その担当者が戻ってから
手当たり次第に この話をすると
関係者全員が
座っていた者は 思わず中腰になる勢いで
驚いたという。


バスの運転手も
タクシーの運転手も
司会者も。


原典が 『野辺送り』なのは明らかとはいえ
何年も何年も
葬儀社は あの斎場独特のしきたり、
斎場は この辺のしきたり、 と
交わることなく 美しい平行線を描いてきたのは
奇跡に近い出来事じゃないだろうか。



私はこの話を聞いて
"震源地は誰だ" のゲームを
思い出さずにはいられなかった。


円陣で
みんなが同じ動作をしていただけ。

しきたりというのは そういう側面があるのかも。


ーーーーー


この話は 他の近隣の業者さんにも
伝わった方がいいだろうと思うのだけど
ここでは 固有名詞を出すのは控えます。


心当たりのある方、 多分正解です。
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非公開
職業:
献茶婦
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