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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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遺言というのは、
財産処理に関しては、 法的にはいろんな決まりごとがあるけれど、
故人の意思という意味では かなり幅広い範囲をさす。

例えば
「連帯保証人になったらあかん」 とか
「メシはよう噛んで食え」 という
生きていく上での指南を
遺言としてとらえられることもある。

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H区ホールにて。
おねえさんはYさん。 浄土真宗。


その日の故人さまは 家の人たちから
『ばーさん』と呼ばれていた。

なんでも、 その『ばーさん』の遺言というのが

「私の通夜で、 ええもん食べたらあかんで。
のり弁にするんやで、 ええか」

・・・というものだったそうな。
ある葬儀社の施行担当者の話。


かかってきた電話に応答すると
「主人が・・・主人が・・・」 と
声を震わせたご婦人が。

根気よく話を聞くと
御主人が入院していた病院から電話があったので
今から 出向く、 という趣旨。

「もうどうしていいか・・・」 と
ご婦人は言葉がつながらないながらも
御主人を そのまま葬儀会館にお連れすることになり、
その担当者A氏は
彼らには馴染みの病院に向かった。
仏式の告別式当日は

告別式 → 出棺・斎場へ → 精進あげ料理
→ 骨あげ → 初七日

・・・この流れが基本。


告別式の時間は、 斎場の予約時間を軸に
斎場までの移動時間、
親族さまや会葬者の人数、
読経時間、 弔辞の有無・・・
それらを逆算して決められる。


そんな中、
感覚として 精進あげ料理は昼食なわけで。

午前中の開式なら
昼時に 食事という展開なのだけど
13時以降の開式なら
食事開始が15時前ということになりかねず、
普通の3食で体内時計ができている人には
かなりずれこんだ感が。


私たちスタッフは
時間的なタイミングは把握しているので
自分がしんどくないように調整できるのだけど
お客さまは
精神的にも 1日の流れとしても非日常。
あらゆることが その場になってみないと実感できない。


開式が遅い場合、 施行担当者が
何らかのガイダンスをしているはずなのだが
緊張状態の場合、
いつもはお腹が空くであろう時間帯に
全く空腹を感じなかったりする。


ここで子どもが 「お腹すいた」 と騒ぎだすと
ちょっと現実に戻って
コンビニおにぎりなどが登場するのだが
大人だけだと 完全に忘れていることすらある。


そして、 告別式が始り静かに読経を聞いていると
じわじわと空腹感がわいてくる。
家族が亡くなった時、
誰に連絡するかというのはとても大きな問題。

患いが長い場合などは、
ある程度整理する時間もあるけれど
そうではない事も多い。

某おねえさんに聞いた話。


あるお家でのこと。
一人暮らしをしていたお父様が、
元気だと思っていたのに
頭が痛いと訴えてから すぐに亡くなられてしまった。


喪主様は、 お父様の交友関係などを知らず、
住所録や電話帳の類も見当たらなかったので
住まいに残されていた名刺などを頼りに
ばたばたの合間、
何軒かに連絡を入れたという。


通夜の前、
会館で喪主さまが施行担当者と打ち合わせをしている時、
一人の男性が 血相を変えて部屋に飛び込んできた。
告別式のおよそ1時間前から、
会葬の方々が三々五々と式場にお越しになる。

受付が 親族・一般に分かれている場合、
来られた方に声をかけ、
該当の受付台に誘導する。

特に決まりがあるわけではないけれど
まず
「ご親族さまですか?」 と 親族を優先するような慣例。


「仏さまのいとこの子どもですねん」
「ワカヤマの兄嫁の弟ですわ」
「義理のなんとかの なんとかで」

事細かにに説明して下さる方が多い・・・彼らはみんな親族さま。


「もう兄弟同然に育ってきた幼馴染でね」
「おばさんには 子どものように可愛がってもらってなんとかかんとか」

彼らは一般。
受付でも記帳しながら 同じ話を繰り返す人が多い。
後で 喪主さまや親族にも 再度同じ話を(以下略)。

疑わしき場合は 親族側にあずけて
親族さまの判断にゆだねるのが無難。



そんな中
「いえ・・・まぁ・・・あの・・・」 と
目を伏せながら 言葉を濁す方がいらっしゃる。
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 お葬式の内緒ばなし】
画・構成:木月けいこ
原案:にわ晃子
出版社:新書館
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プロフィール
HN:
にわ晃子(acco)
性別:
非公開
職業:
献茶婦
自己紹介:
阪神間で動き回っています。
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