忍者ブログ
献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
[118]  [119]  [117]  [116]  [115]  [113]  [112]  [111]  [110]  [109]  [108
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

仏式の告別式当日は

告別式 → 出棺・斎場へ → 精進あげ料理
→ 骨あげ → 初七日

・・・この流れが基本。


告別式の時間は、 斎場の予約時間を軸に
斎場までの移動時間、
親族さまや会葬者の人数、
読経時間、 弔辞の有無・・・
それらを逆算して決められる。


そんな中、
感覚として 精進あげ料理は昼食なわけで。

午前中の開式なら
昼時に 食事という展開なのだけど
13時以降の開式なら
食事開始が15時前ということになりかねず、
普通の3食で体内時計ができている人には
かなりずれこんだ感が。


私たちスタッフは
時間的なタイミングは把握しているので
自分がしんどくないように調整できるのだけど
お客さまは
精神的にも 1日の流れとしても非日常。
あらゆることが その場になってみないと実感できない。


開式が遅い場合、 施行担当者が
何らかのガイダンスをしているはずなのだが
緊張状態の場合、
いつもはお腹が空くであろう時間帯に
全く空腹を感じなかったりする。


ここで子どもが 「お腹すいた」 と騒ぎだすと
ちょっと現実に戻って
コンビニおにぎりなどが登場するのだが
大人だけだと 完全に忘れていることすらある。


そして、 告別式が始り静かに読経を聞いていると
じわじわと空腹感がわいてくる。

ーーーーー



H区ホールにて。
天台宗、 おねえさんはYさんとNYさん。


この日の開式は13時半。
この葬儀社は 開式2時間前入りなので
私は たっぷり昼食を摂って会場入りしていた。


その日のお式は
通常より 長くなりそうな要素が満載だった。


高名な僧侶3人による丁寧な読経。
故人さまは商売をなさっていて現役世代。
倒れられてからお亡くなりになるまでが短期間で
親族さまの悲しみも とても深い。



実際、
お棺が柩車に入られた時点で
既に出棺予定時刻を15分ほど過ぎていた。


移動時間は 渋滞なども考慮して
余裕をもって組んでいるけれど、
このタイミングでの15分の損失は大きい。


急いでいるのを気取られないよう
斎場に行かれる親族さまをバスに案内し
全員が乗ったかと思った時、
「●●くんがいない」 との声が。

喪主さまの弟である次男さん(30代)が行方不明に。


こんなタイミングでどこへ?
さっき、 泣きながら
お棺にお手添えしていらしたのに。


私たちは控室やロッカー室、
各階のトイレ、 建物内を探し回ったけれど見つからず。
親族さまが 携帯を呼び出すけれど応答はなく。


出棺予定時刻より25分が過ぎ、
その場にいる全員が途方に暮れた頃、
本人が あらぬ方向から走ってこられた。


手に何か持っている。


それはどう見ても
通りの向こうで売っているたこ焼き・・・


「お前、 あんなに泣いてたクセに
何 たこ焼き買うてんねん!」

ぶち切れた喪主さまをおさえて どうにか出棺。


ーーーーー


後で聞くと この次男さん、
式が始まった頃から 「倒れそうに」 空腹で、
泣きながら たこ焼きのことを考えていたという。


どんなに悲しみに暮れても お腹は減る。
生きるというのは こんなもん。
健康バンザイ。
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
コミックエッセイ
発売中
【献茶婦は見た!
 お葬式の内緒ばなし】
画・構成:木月けいこ
原案:にわ晃子
出版社:新書館
税込840円
ブックマーク
ブログ内検索
PR
プロフィール
HN:
にわ晃子(acco)
性別:
非公開
職業:
献茶婦
自己紹介:
阪神間で動き回っています。
メールフォーム
Twitter

忍者ブログ[PR]