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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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それなりに経験値があがってきているので
著名人のお葬儀の映像などを見て
おおまかな宗派はわかるようになってきた。



お軸が 『南無阿弥陀仏』・・・ということは
浄土宗か浄土真宗。
鳴物は おりんと木魚、
・・・木魚があるということは 浄土宗なのね。
こんな感じ。

宗派によって 使う軸や鳴物は決まっている。
その他 チェックポイントはいくつかあるけれど
ローカルルールも存在するので
「あれは何?」 というモノも
結構目にする。

ーーーーー


H区ホールにて。
浄土宗、 おねえさんはMSさん。


通常、 会場入りする時に
宗派や その日の注意事項などを打ち合わせ、
その上で 各自の持ち場の段取りをくむ。


その日は 浄土宗なので 告別式の為に、
祭壇前に白菊・黄菊・たいまつを準備。
お寺さんによっては
いらないモノもあるので要確認。
・・・なんてことを頭の中で呟いて。




式前、 慌ただしくなる少し前、

「ごめん、 倉庫に行くついでに
菊の花びら1枚とってきてくれへんかなぁ」 と
おねえさんに頼まれた。


その日の祭壇前の準備は たいまつだけで
菊は手元にないし、
花びら1枚なら 祭壇周りの供花から用意するのだけど
そこには 既に親族さんたちがいるので
花びら1枚といえど 取りに行きにくく、
おねえさんは その時 他の優先事項があった。


・・・でも 何故 菊の花びら1枚?
こよりの切れ端のようなもの、
何に使うの?


「花びら?花びらがいるんですね?」

おねえさんは ぱたぱたと歩きまわりながら
「そ、 花びら。 ごめん、 バスが着く前に頼むわ」

バスというのは 喪家さんの自宅近くから出る
参列の方々の為の送迎バス。
これが 到着すると
私たちは 案内&接待でそれ以外の身動きは取りにくい。


行きかけた時
「大きめのん、 よろしく~」 と
背後から 声がきこえた。


振り向かずに はーい、 と返事したものの
花びらの使い道は思いつかず。
ちょっとくらい経験値があがっても
知らないことは まだまだある。



花ストッカーを開けた時、
白菊か黄菊かどっちか聞くのを忘れたことに気付いた。
こんな時は 両方用意する。
大きめ、 と言われたけれど
最大でも かきの種の倍くらい。


階段を1段飛ばしで駆け上がる。
おねえさんに目で合図をして炊事場へ。


トレイの上に花びらをほろりと置いた。
一応 白と黄を2枚ずつ。


おねえさんの目が丸くなった。


「・・・あたし、 "花びら" って言ったんや?」
ごっめーん、 と手を合わせるおねえさん。


あぁ やっぱり。
彼女が欲しかったのは 『菊の葉』。


『末期の水』の準備だったわけで。


ーーーーー


末期の水 (まつごのみず) とは、
臨終間際の人が 最後に水をもとめることからきたならわしで、
死去後、 血縁の濃い順に その口をうるおすこと。
最後のお別れで花を入れ終わった後
棺の蓋を締める直前にすることが多い。

お酒やビールがお好きだった故人さまの場合、
ご親族の希望で それらを含ませることもある。


筆の穂や
割りばしの先にガーゼや脱脂綿をつけたものなど、
使うものは何種類かあるけれど、
先述の司会者のグループは
菊の葉を使うのが主流。
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献茶婦
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