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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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遺言というのは、
財産処理に関しては、 法的にはいろんな決まりごとがあるけれど、
故人の意思という意味では かなり幅広い範囲をさす。

例えば
「連帯保証人になったらあかん」 とか
「メシはよう噛んで食え」 という
生きていく上での指南を
遺言としてとらえられることもある。

-----

H区ホールにて。
おねえさんはYさん。 浄土真宗。


その日の故人さまは 家の人たちから
『ばーさん』と呼ばれていた。

なんでも、 その『ばーさん』の遺言というのが

「私の通夜で、 ええもん食べたらあかんで。
のり弁にするんやで、 ええか」

・・・というものだったそうな。

ご親族の何人もがこの話をされていた。


『ばーさん』の最期、 ご親族が集まった時、
息も絶え絶えな『ばーさん』が
ダイイングメッセージのように それだけを言い残して
ぱったりと 逝ってしまったかのような状況を
想像してしまった・・・


かくして 通夜振る舞いは遺言通り
弁当屋さんののり弁。


「『ばーさん』の遺言やからな・・・」

あちこちで しんみりした声が聞こえてきた。

ーーーーー

翌日、 告別式当日は 精進あげの料理が。

「『ばーさん』は精進あげのことは
何も言ってへんかったからな」 と
ご親族さまたちは
『ばーさん』の思い出を語りながら
豪華めの料理を 召しあがっていた。

実は、 喪主さまは
最も高価格な料理を注文なさったのだが
高齢の方には食べきれない量なのと
時間的にきつくなるので 担当者が制したそうな。

「こちらは 時間的にゆっくりできる法事の時にでも」
と言うと
「ほんまやな、 そうするわ」 とのこと。


『ばーさん』、 草葉の陰で悔しがっていると思う。
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にわ晃子(acco)
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非公開
職業:
献茶婦
自己紹介:
阪神間で動き回っています。
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