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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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私が育ったエリアの現場にも出向くので
いつか こんな事もあるだろうと 予想していた。

そう、 式で知合いに出会うこと。


その日、 私は式当日だけの参加だった。
宗派は禅宗、 お姉さんはKMさん。


式場に入ると 高校時代の友人の名のついた花が。

学校外で遊びに行ったりするほどではないけれど
他の友達と共に
お昼を一緒に食べたりしていた同級生。
ただ、 何年生で一緒だったのかは 思い出せないのだな。


喪家さんの姓と彼女の姓は同じ。
花の場所から推測すると 喪家さんとは近い親戚筋なのだろう。
珍しくはないけれど よくある姓ではなく
彼女の名前は 漢字に特徴があるので
このエリア内で 同姓同名は あり得ない。


彼女が私に気付いてくれれば まぁ それは良しなのだけど
そうではない場合
声をかけるべきなのかどうか・・・


そうこう思いをめぐらせるうちに
彼女がやってきた。

女の子を連れている・・・花札は旧姓のまま。
背景を推測しつつ 詮索はせず。
そりゃ 色々あるわよ。

受付で記帳する彼女は 沈んでいた。

動揺は見たことがあったけれど
こんな沈んだ表情の彼女は見たことがなかった。

彼女が気付かない限り
声をかけないでおこう、 と 決めた。



どうやら故人さんは 彼女の伯父様らしい。
式が終わるまで 沈んだ表情が 変わることはなかった。


お別れで 献茶婦は棺に納める花を
親族さんを中心に配るのだけど
私は意図的に 彼女の周りを動くのを避けた。

-----

親族さん達が斎場から戻り
食事をするべく控え室に案内をしていた時
彼女の視線を感じた。

あぁ 気付いたのね。

その日の仕事は 式の後片付けをして
皆様を食事の席に案内して終了だった。

お姉さんにことわりを入れて
彼女に話しかけた。


こんな時

「いやぁぁん、 久しぶりやーん」

などと言えるわけもなく
高校時代の同級生なのに

「お久しぶりです・・・この度は大変でしたね」 と

神妙な面持ちとトーンで切り出した私・・・


すると

「いやぁぁん、 やっぱりぃぃ~
そうちゃうかと思っててーん」 と

まさかあの沈んだ表情で そんなコト思ってたの? な リアクション。



そして
挨拶だけのつもりだったのに

わずか数分のうちに
いつもは 「まぁ いろいろありまして」 で終わらせる
プライベートなあれこれを
すらすらと聞き出されてしまった・・・


さらに
別に興味はなかったのだけど
彼女の今置かれている状況なども
細かく教えてもらっちゃったりなんかして。


なんて内容の濃い数分・・・

恐るべし旧友。


やっぱりこれからは
相手が話しかけてこない限り
話しかけるのはやめようかと。
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にわ晃子(acco)
性別:
非公開
職業:
献茶婦
自己紹介:
阪神間で動き回っています。
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