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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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宗派は真言宗。
おねえさんは KKさん、 それに新人のOさん。
H区のホールで。


出棺前には 故人との最後のお別れをする為に
棺の蓋を開けて 献花をする。
この場面、 毎回哀しくて
ほとんど毎回 涙ぐんでしまう

花は棺の周りや 供花からその都度ハサミで切る。



新人ほやほやの頃、
「右の親族一同」 を残しておくことを知らずに
「右の親族一同」 の百合を ぱちぱち切り取って
ちょっとそこのねーちゃん!
お別れに似つかわしくない怒声でどやされて以来
ハサミで花を切る時は 毎回びくびくしている。

毎回 「右の親族一同」が残されるわけではない。
「左の」 もアリだし
残さないことも多い


その日もびくびくしながら花を切っていた。
すると 担当のN氏が胡蝶蘭数本を持って
私に向かい合った。

両手ですっと差し出された胡蝶蘭。

反射的に
胡蝶蘭を受取る為に両手を出すと

N氏 イヤイヤと首を横に。


受取り方が悪いのか、 と
差し出した両手の位置と角度を変えてみると

N氏 更に首を振り。


そか、 胡蝶蘭に他の花を足すのね、
胡蝶蘭っていつも単独のような気がするけど
合わせるならかすみ草?

・・・と かすみ草を数本差し出すと


やっぱりN氏は 無表情に首を振る。

時間にして1分足らずの出来事に
すっかりパニックな私。


どうする、 私?
ライフカードはどこにもないし

目が泳ぐ。
視界に助けを求める相手はいない。

何事もなかったかのように
この場から離れようか・・・

するとN氏、 すっと私の手からハサミを取り・・・



正解は
この胡蝶蘭の茎の長さを揃えてね でした。

N氏とは 目と目で会話はまだ無理。


出棺後 N氏にこのことを謝ると

「いやぁ あんな場面なのにおかしくておかしくて」 と
けらけら笑ってはりました。
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プロフィール
HN:
にわ晃子(acco)
性別:
非公開
職業:
献茶婦
自己紹介:
阪神間で動き回っています。
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