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献茶婦とは葬儀・法事等を手伝う専門職です
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日本の昔話。
ご馳走の席に呼ばれたものの 作法を知らない村人達は
長者の真似をして食事をしよう、 ということに。
食事中、 芋の煮っころがしを上手につかめず ころりと転がしてしまった長者を真似て
村人全員が いっせいに芋を転がした、 という物語。

通夜や告別式が始まる前、
「あのー、 焼香は何回やればいいんですか」 と
不安げに こそっと尋ねてくる方は結構いる。






正解は ない。
各宗派によって 1~3回の間でスタンダードが設定されているのだが、
会葬者が多い場合は 1回焼香でお願いすることもある。
なので 回数にこだわらず、 心を込めて焼香すれば良いわけだ。

1回焼香をお願いしていても、 その中の一人が2回焼香をしたとする。
すると かなりの確率で、 以降の人は2回焼香となる。

一般会葬者が焼香する場合、
焼香台の横に立っているご遺族に一礼するのだが
ここで誰かが ご遺族の他 一般会葬者の席に向かってお辞儀したとする。
すると かなりの確率で、 以降の人も 意味なくあっちこっちにお辞儀をする。


浄土真宗では “清めの塩” を使わない主義なのだが
斎場 (火葬場) から会館等に戻ってきて
「塩、 塩があらへんやん!」 と 半狂乱になる方が
毎回ではないが出現する。

・・・というより、 この会館では宗派に関係なく、 小袋入りの塩しか用意していない。
同じ葬儀社の他の会館では 台に塩を盛って出迎える。
確認はしていないけれど
塩を盛ると 風で飛びやすいエントランスの構造であるとか、
塩がばら撒かれた後 掃除がしやすいとか、
塩の有無は たいした理由ではないと予測している



ある日、 塩をいつもは置かない会館で、
担当者とおねえさんが相談して塩を置いてみた。
塩を見て 喪主さんの奥様が
「あら?浄土真宗なのに・・・?」 と 首をかしげた。
その横を 年配の男性がさっと塩に歩み寄り
一つまみの塩を足元に撒き、 それを踏みしめて建物に入っていった。
すると 首をかしげていた奥様も含めて全員が 同じ行為をした。



その担当者曰く、
スタンダードはあっても それに縛られる必要はなく、
例えば 『一膳飯』 は基本的には ”一膳” なので
ご飯を一度茶碗に盛ったら取り替える必要はないのだけど
ご家族の方が 取り替えたい、 とおっしゃれば その通りにしてもらってかまわない、 と。
要は 故人を送る気持ちを大切にすれば それが正しいのだ、 と。
棺の中に収める物品は いくらか制限があるけれど、
正しい、 正しくない、 ばかりにこだわると 葬儀の最も大事な部分が欠落する、 と。


形式は変化する。
元々 葬儀というのは、 ローカル・ルールや宗派によって
よく似た違うコトが多いものだ。
守らねばならない形や常識もあるだろうが、
重要視しなくて良いしきたりも多い。


だからね、 わからなかったら前の人の真似してたらいいのよ。
いいやん、 いもごろごろ現代版で。
気持ちさえあれば。

献茶の立場では スタンダードは知っておかなきゃいけないけどね。
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非公開
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献茶婦
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